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​整形外科                     

整形外科の病気について

一般的に整形外科の病気は、内臓の病気と異なり直接命に係わることが少ない病気です。

しかし、骨や関節、筋肉の病気を持つわんちゃん・ねこちゃんは、痛みなどにより上手く歩けないなど、重症化してしまうと生活の質(QOL)が著しく落ちてしまうことが多々起こります。

​そのため当院では、わんちゃん・ねこちゃんが楽しく遊び、十分なお散歩が出来るような体づくりを目標として治療に当たらせていただいております。

特にわんちゃんでは、奇形や成長期異常の病気が多く、幼少期に適切な診断と治療を受けられずに重篤な状態にまで悪化させてしまう場合も少なくありません。このため、明らかな症状が見られる前の段階で受診していただくことをお勧めします。

整形外科の病気は、事故や落下・打撲などの外傷/生まれつきの異常(奇形性)/成長・加齢に伴い発症する異常(変形)など様々な原因・時期に起こります。また、一見整形外科の病気に見えても神経の病気や免疫の病気、ホルモンの病気などが原因で症状が出ている可能性があります。

そのため、触診やレントゲンだけでなく、多様な検査項目の中から症状によって必要な検査を組み合わせることで負担を少なく・正確な診断をしていくことが重要となります。

整形外科の病気の子によく認められる症状

  • 足を地面につけられない/あげている・浮かせている

  • 足を痛がる/触ると怒る

  • 歩いている途中に片足を伸ばす仕草をする

  • お尻を左右に振りながら歩く

  • 立っている姿勢の時に、前足あるいは後ろ足がガニ股(O脚)になっている

  • 立っている姿勢の時に、前足あるいは後ろ足が内股(X脚)になっている

  • 抱き上げた時に後ろ足がクロスしている

  • 爪の背面(本来地面と当たらない側の面)が擦れて削れている

  • 歩いている時に「シュッシュッ」「カチッカチッ」と爪が擦れる音がする

  • 上手にお座りができない(後ろ足がお姉さん座りやあぐらをかいたような座り方になってしまう)

  • 長時間のお散歩ができない(疲れやすい)

  • 高いところに登らなくなる/登れなくなる

  • 歩幅が狭くなる

検査の流れ

 問診・視診                             

症状の出る前後のご様子と思い当たる原因について詳しくお聞きします。

立っている時の姿勢と、歩行の様子を飼い主様と確認をいたします。

​病院に来ると緊張などから、痛みを忘れ普通に歩いてしまう子がたまにいますので、可能であれば、症状を携帯電話などで動画撮影をしてきていただくと大変助かります。

 触診(整形外科学的検査)                      

四肢の骨・関節・筋肉・腱・靭帯を触診する特殊な徒手検査です。

足のどの部位に異常があるのかを調べるために行います。

​基本的に正常と思われる足も触診し、重症度と負荷の様子を診ます。

整形外科疾患が疑わしい時に必ず行う最も基本的な検査になります。

 神経学的検査                            

整形外科の病気の診断で最も悩まされるのが、神経病との区別です。

あたかも整形外科の病気のように見えていても、実は神経の病気であったり、整形外科の病気の合併症や併発症として神経の病気が隠れている場合(この場合整形外科の治療をしても完治しません)があります。

神経学的検査は神経科のページでもご紹介させていただきました検査で、脳神経・脊髄神経・末梢神経のどこに異常があるかを確認するための検査です。

 レントゲン検査                           

上記の検査により患部がどこにあるか分かった後に行う検査です。

骨折・脱臼・骨腫瘍・成長期異常などを診断します。

レントゲン検査は診断だけでなく、手術症例の術前計画のために必要な骨などのサイズの正確な計測にも用います。

 血液生化学検査                                            

血液検査は主に内科治療の薬の副作用確認や術前検査を目的として行いますが、重度な関節炎や筋疾患などを疑う場合、免疫介在性の関節炎が疑われる場合では、C反応性蛋白(CRP)やリウマチ因子、抗核抗体などの特殊な血液検査を行うこともあります。

 関節液検査                             

免疫介在性の関節炎などを診断するのに有用な検査です。

肘・手首・膝・足くびの複数の関節から少量の関節液を採取し、その性状や成分、細胞などを調べる検査です。

 超音波検査                             

関節内あるいは関節周囲の構造を0.1mm単位で評価します。

靭帯断裂や半月板損傷、周囲の軟部組織の異常、関節軟骨の損傷などが確認できます。局所の微細な異常の検出に優れています。

 CT検査・関節鏡検査                        

骨格や関節面、関節内の微細な構造をリアルタイムで確認できる有用な検査です。

ただし、検査の為全身麻酔が必要となります。

​当院では、CT・関節鏡設備を備えておりませんので、検査が必要でご希望の方は信頼できる獣医療機関をご紹介させていただきます。

治療方針のご相談 ⇒ 治療スタート

 内科療法                              

内科療法は、その病態(種類)や重症度によって様々ではありますが、内服薬(主に鎮痛剤)やサプリメントの服用と外固定(テーピング)、ケージレストによる通院治療が基本となります。

​病態によっては、レーザー治療が非常に有効なこともあります。

​詳細は、下記「代表的な整形外科疾患」の各項目をご参照ください。

 外科療法                                         

整形外科の病気は他の科に比べ手術適応の病気が多い診療科です。

人でも同じことが言えますが、整形外科の手術では、「ほんの数mmのズレ」や「骨や関節の角度のズレ」といったものが、術後の回復や後遺症などに非常に影響を及ぼしてしまいます。

整形外科手術は、極めて正確な術前計画と特殊な技術を必要とされます。当院では、複数の獣医師で手術に臨み、綿密な術前計画に基づいた手術を執り行わせていただきます。
特殊な手術の場合は、専門病院などの二次施設へのご紹介をさせていただくこともございます。

また整形外科手術の大半は、強い痛みを伴う手術となります。そのため、当院では通常の麻酔管理に加え、ブロック麻酔や硬膜外麻酔などの積極的な疼痛コントロールを行うことでわんちゃん・ねこちゃんの負担や苦痛を少しでも和らげられるよう努めております。

術後のリハビリなどのケアについては、飼い主様のライフスタイルに合わせたものをご提案させていただきます。ご質問やご希望に関しましては、スタッフにお気兼ねなくご相談ください。

​※現在、手術器具の不良と欠損により一部整形外科手術がご対応出来ないものがございます。ご不便おかけいたします。ご了承ください。

代表的な整形外科疾患・実際の症例報告

・骨折(腕や足などの長骨)
・骨盤骨折
・椎体骨折
・脱臼(各関節)
・膝蓋骨脱臼
・前十字靭帯断裂
・大腿骨頭壊死症(レッグ カルベ ペルテス病)
・多発性関節炎
・筋腱炎
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