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​パラディア(分子標的薬)使用症例     

​分子標的薬とは?

少し難しいお話になりますが、分子標的薬とは、がん細胞の持つ特異的な性質を分子レベルでとらえ、それを標的として効率よく作用するようにつくられたお薬です。がん細胞を狙って作用するため、既存の抗がん剤と比べて副作用をより少なく抑えながら治療効果を高めることが期待されているお薬です。

しかし、正常細胞に全く作用しないわけではないので、一部の分子標的薬には重い副作用が起こることも報告されています。

標的分子がわかっているので、その分子を調べれば、効くかどうかを投与前に有る程度予測できる場合もあります。動物でもc-KIT変異に対する犬の肥満細胞腫やGIST(消化管間質細胞腫)においてグリベック(イマチニブ)などの効果が数多く認めれられています。

​パラディアとは?

前述のグリベックと同様、c-KIT変異に対する効果があるとともに、VEGFRなど複数の受容型チロシンキナーゼを阻害するお薬です。

​そのため、肥満細胞腫やGIST以外の腫瘍に対しても血管新生阻害などの作用から腫瘍増殖抑制・縮小効果が期待できるお薬です。

Case.1 犬の肛門嚢アポクリン腺癌の肺転移症例

トイ プードル 雄 12歳齢​ 咳と肛門腫瘤を主訴に来院。

組織病理検査にて、肛門嚢アポクリン腺癌と診断。

初診時から肺転移が認められ、飼い主様とご相談の結果、パラディアの内服を開始いたしました。

​初診時レントゲン

左右の肺に複数の転移性病変と思われる所見が認められています。

​投与10か月後レントゲン

レントゲン所見上、完全には消失しないものの、縮小傾向を示し、臨床症状の咳は気にならない程度まで消失しました。

​一度軽度の骨髄抑制所見が認められたものの、そのほか目立った副作用もなく投薬が出来、非常に良好な経過を見ることが出来ました。

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