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​痙攣/特発性てんかん             

痙攣発作は、ご家族が目にする可能性がある様々な病気の中でも非常にショッキングな状態で、緊急の対応が必要となる場合も少なくありません。
人間同様に動物にも痙攣は比較的多く認められており、特にわんちゃんには多く認められることが知られています。

​ 症状 

大脳皮質が一時的に異常な興奮活動を起こしてしまい、正常な活動がシャットアウトされてしまう結果、脳が一時的に暴走して異常な身体の動き、意識レベルの異常、そして多量のヨダレや排泄などを伴います。
全身が影響を受ける場合と顔面と前肢だけなど身体の一部分のみが影響を受ける場合がありますが、特に全身が影響を受ける場合には通常2分以内に痙攣発作自体は終了します。

特殊な場合を除いて、痙攣が最も起こりやすいのは夜中や明け方の睡眠時あるいは休憩時です。

​ 原因 

原因は様々でありますが、大きくわけて下記のようになります

・脳の病気:脳腫瘍 / 脳炎 / 外傷 / 脳梗塞など

・内臓の病気:肝不全 / 腎不全 / 中毒 / 蓄積病など

・特発性てんかん:人と同様に多く認められます

​・その他

​ 診断 

様々な”発作”的な症状がとても紛らわしいことがあるため、まずは痙攣発作だったのかどうか、がとても大切な第一歩となります。特に心臓や呼吸器との鑑別が重要となります。
ご家族からのお話だけでははっきりしない場合もあり、ビデオ撮影はとても有益です。

・年齢や症状、発作時以外の神経症状の有無などの稟告所見(特発性てんかんとの鑑別に重要)

・神経学的検査

・血液検査

​・レントゲン検査

・MRI検査

・脳脊髄液(CSF)検査

・脳波検査

​ 治療 

治療法は、大きくわけて下記の2つになります。原因により単独または併用して治療にあたります。

・原因疾患の治療(外科的 / 内科的治療)

・発作自体を抑える/止めるための治療

基本的に痙攣に対する治療は、一旦開始したら生涯継続する必要があります。
「治療をいつ開始するべきか」については世界中で明確な基準は存在しませんが、痙攣発作の頻度や長さが増えている場合、痙攣発作が2-3ヶ月に1回以上認められている場合、1回でもてんかん重積や群発性発作を起こした場合には開始されることが多いです。
 

以前までは人用のお薬しかなく、動物種によっては毒性が強いものやすぐに身体の中から排泄されてしまったりと、使用できないものがありましたが、現在では動物用の抗痙攣薬も発売されており、定期的な血中濃度の測定や症状の有無や副作用のチェックを行うことにより、比較的安全に治療を行っていくことが出来るようになっています。

また、残念ながら特発性てんかんの犬のうち約25%は様々な内服薬による治療にあまり反応しない事が報告されており、人間同様にこのような難治性てんかんの患者に対するケアは大変困難です。

​ 緊急!下記の場合はすぐにご来院ください 

以下のような場合には緊急的な治療が必要な事が多いですので、痙攣発作の原因に関わらずお近くの病院もしくは、急患受付病院まで速やかに連れて行ってください。

てんかん重積

1回の痙攣発作が5分間以上続いた場合、あるいは意識が正常に戻る前に2回目以降の痙攣発作が起こった場合には、てんかん重積と呼ばれ緊急的な対応が必要となります。
場合によっては生命に関わる事態にもなり得ますので、急患受付をされているお近くの動物病院へ連絡後、速やかに連れて行ってください。

群発性発作

24時間以内に痙攣発作が2回以上起こった場合、群発性発作と呼ばれます。
緊急対応が必要な場合が多いですので、急患受付をされているお近くの動物病院へ連絡後、速やかに連れて行ってください。

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