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​僧帽弁閉鎖不全症 (後天性弁膜症)   

​10歳以上のわんちゃんの10~20%、特に老齢小型犬の約30%にみられる病気といわれています。

僧帽弁とは、左心室と左心房の間にある膜性の弁で、血液が左心房へ逆流することを防いでいます。

この僧帽弁が変性し、きちんと閉まらない(=隙間があいてしまう)と血液の一部が左心室から左心房へ逆流してしまい、上手く全身へ血液を送り出せなくなってしまいます。

​初期の病態では、心臓が頑張って働いてくれますので、見た目での大きな変化はありませんが、徐々に心臓が疲弊し、心不全へと進行してしまいます。

​ 症状 

​初期の状態では、ほとんどの症例で無症状です。ワクチン時などの聴診にて心雑音が聴取され発見されます。

咳/呼吸困難(呼吸が浅くてハアハアしている)

以前より活動性が減った(寝てばかりいる、散歩で立ち止まるようになった)

失神

​食欲がおちてきた

​ 好発犬種 

・キャバリア キング チャールズ スパニエル​

・チワワ

・シー ズー

・トイ プードル

・マルチーズ

​・ポメラニアン               

などの小型犬に多く認められています

​ 検査(全て当院にて行えます) 

・聴診&身体検査

・レントゲン​検査

・超音波検査(心臓エコー検査)

・心電図検査

・血圧測定

・血液マーカー検査​

​ 治療 

お薬による内科治療と、手術による外科治療があります。

手術については、非常に高度な技術と設備を要するため、実施している病院は限られています。ご希望の方には信頼出来る病院と獣医をご紹介させていただきますので、ご相談ください。

お薬による治療は、残念ながら変性した弁が治るわけでありませんので、完治させることは出来ません。
心臓の病気の進行をゆっくりにして心不全になるまでの期間を延ばすことや、症状を和らげることを目標にした治療となります。
基本的に、一生投薬が必要となり、病気の進行に伴って、お薬も種類・量共に増加することがほとんどです。
症状が出る前から治療を開始することによって、さらに心不全になるのを遅らせることが出来るともいわれておりますので、定期的に聴診することによって、早期発見することが重要となります。

Case.1 13歳トイ・プードルの内科治療例

トイ プードル 雄 13歳齢​ 連続性の咳で夜も長く眠れないとのことで来院。

当院にて心臓検査を実施し、僧帽弁・三尖弁逆流症ACVIMstageCと診断。

​飼い主様とご相談の上、内科治療開始。開始後より咳の頻度低下し、夜も長い時間ぐっすり眠れるようになってとのことです。とてもよくお薬が奏功してくれた症例です。

​初診時レントゲン

重度に気管が圧迫され、心臓も丸く大きくなっていました。

​投与6か月後レントゲン

気管も広がり、心臓も一回り小さくなり、超音波検査上でも心負荷の軽減が認められました。

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